外国人受け入れの実務者を対象としたアンケート調査結果が公表!
JITCOが「外国人材受け入れの実務者を対象としたアンケート調査結果」を公表しました。対象は、外国人材の受け入れや送り出しの事業に携わる国内外の機関(監理団体・実習実施者・登録支援機関・特定技能所属機関・送り出し機関など)となっており、技能実習制度と特定技能制度についてアンケート調査を実施。ナマの声を集めた調査結果となりました。
両制度については、現在政府でもその在り方について有識者会議を開催し、存続の可否を含めた適正な受け入れ方策について協議しています。このような機運の中行われた調査の結果として、今回のアンケート結果は注目されます。
外国人技能実習制度と特定技能制度の今後は?
今回のアンケート調査結果により、国内外の機関では最も多い1位の意見として、「両制度の特長を活かしつつ連結性を高める改正を加えて並存することが望ましい」との意見が全体の約4割(国内機関37.1%、海外機関40.4%)と最多を占めました。2位には「両制度を統合すべき(21.2%)」、3位に「両制度ともに大規模な改正が必要(10.2%)」と続いています。
今後の検討に期待することとしては「労働力不足に正面から取り組む制度」「通算在留可能年数を長く」「受入れ対象職種の拡充」といった声が多く、また手続きの簡素化など運用面の改善を求める意見も多数寄せられました。
次に、監理団体と実習実施者(企業側)に、現行の技能実習制度に対する評価を尋ねたところ、監理団体は「評価が難 しい」(44.2%)が最も多く、次いで「おおむねよい制度といえる」(34.4%)、実習実施者は「おおむね よい制度といえる」と「評価が難しい」が共に 38.6%と最も多くなりました。
「高く評価できる」または「おおむねよい制度といえる」と肯定的に評価した監理団体は合計 38.9% だったのに対して、実習実施者は合計 51.7%で、いずれも否定的評価(監理団体:合計 17.0%、実習実 施者:合計 9.7%)を上回りました。
特定技能制度の課題として最も多かった回答は「特定技能外国人は一定の要件のもとで転職が可能な ので、人材が定着しにくい」(登録支援機関:67.1%、特定技能所属機関:56.8%)で、次いで多かった 回答は「所管省庁ごとに扱いが異なるため、制度が複雑である」(登録支援機関 66.5%、特定技能所属機 関 33.8%)でした。
そのほか、登録支援機関では「職種区分等、技能実習とのスムーズな連結が不足」(45.2%)、「1号は 家族帯同できず生活基盤が安定しにくい」(26.5%)が多く、特定技能所属機関では「1号は家族帯同で きず生活基盤が安定しにくい」(28.4%)が多くなりました。
また、運用面の課題として、「両制度ともに手続きが煩雑すぎる」が6割以上で最も多く、そのほか「運用要領や申請様式の改正が頻繁で把握困難」といった苦情も出ています。技能実習制度としては、監理団体からも企業側からも指導内容や検定受験手続き、管理費などについて意見が多く出ました。
制度の見直しに期待するポイントは?
アンケートにご協力いただいたすべての方に制度見直しに期待するポイントを尋ねたところ、最も多 かったのは、「労働力不足対策」に正面から取り組む制度にして欲しい」(65.3%)となりました。
次い で「通算在留可能年数をなるべく長くして欲しい」(33.9%)、「受入れ対象職種を拡充して欲しい」 (33.4%)、「外国人材が大都市のみに集中しないような仕組みにして欲しい」(29.1%)、「即戦力の確保 に重点を置いて欲しい」(19.3%)、「人権侵害や失踪が起きにくい仕組みづくりに重点を置いて欲しい」 (18.8%)となりました。
また、監理団体や企業側の意見としては、建前ではなく真摯に労働力不足対策としての制度設計を求める声が多くなってきているという印象です。それだけ、日本人労働者の1次産業、2次産業への人材流動が見られないことが背景にあり、現場の危機感を表していると言えるでしょう。また、2位にも在留可能年数の延長を望む声も多くあり、日本の人口減少が待ったなしとなってくる中、日本人でなくても長く真面目に働いてくれる人材を望んでいると考えられます。政府としては、社会問題化対策を打ちつつも、人口減少対策と労働人口補完政策は並行的に進めざるを得なくなってきています。