世界の報酬動向2021

2021/09/08 01:09

世界の報酬動向が注目されています。日本企業も世界の報酬動向を考慮して、海外拠点の報酬体系や昇給などを決め、日本企業も海外から外国人を採用する際には、参考指標にする時代が来ています。

2021年の動向

グローバル組織コンサルティングファームのコーン・フェリー社の発表によると、今後世界の報酬動向に影響を及ぼす3つの重要な傾向があるとのことです。

その3つとは・・

① 昇給を全く予定していない企業の増加

② ほとんどの国や地域の平均昇給予定額は減少

③ 企業は限られたリソースを、優秀人材や重要職種へ振り分ける傾向

同社が2020年に調べた結果によると、①は5%しかなかったが、2021年になり16%と大幅上昇。地域別では、中東地域が最も高く33%、欧州主要国では20%-24%、アメリカでは13%となっています。

産業別ではコロナの打撃の影響が大きく、観光・宿泊産業は91%、小売業は57%、オンライン化が加速した銀行業は44%となっています。

ほとんどの国や地域の平均昇給額は減少

コーン・フェリー社が発表した地域別昇給率の予測では、北米が5%、西欧が2.1%、太平洋地域が2.0%で、それぞれ前年比0.3%、0.4%、0.5%の減少。前年比の減少幅が最も大きいのはアフリカで、来年度の予測は5.0%と、前年の7.9%を2.9%下回る予測です。

アジアは4.4%となっており、西欧よりは高く、北米に匹敵する昇給率となっています。

ただ、インフレ率が特に低い国では従業員の実質賃金(Real Salary Forecast)が上昇しています。

英国が良い例で、2021年の報酬の上昇率は9%で、昨年の見通しである2.5%よりも大幅に低いものの、インフレ率が0.4%にとどまっているため、2021年の見通しされる「実質賃金」の上昇率は、昨年の0.4%に対して1.5%となっています。

出所:コーン・フェリー2021

企業は限られた資源を優秀人材や重要職種に優先配分

海外の多くの企業が、限られたリソースを全従業員に均等に配分するのではなく、昇給対象を重要人材に絞っています。

企業が優先順位を高くしている以下の2つのグループとなります。
今現在のキーパーソン:現在の危機を乗り切るための鍵となる人材
未来のキーパーソン: ビジネスの変革に熟練している人材、または将来的に企業を存続させる適切な能力を持っている人材(成長分野に欠かせない人材)

コロナウィルス感染拡大の影響で、多くの企業が報酬に関して多くの制約を受けるようになっています。そこで多くの企業は金銭以外にも価値ややり甲斐などを感じてもらうために、「トータルリワード」という報酬概念をより強化しています。

特にパンデミック以降、健康関連の福利厚生を充実させることに注力しています。調査対象企業の42%がリモートワーク計画を推進しており、51%の企業が感染した当人への有償休暇を提供しているという調査結果が出ています。

今後は採用時の候補者側の企業を選ぶ基準の一つになることは日本でも言われていますが、世界的に見てもその兆候があります。

コーン・フェリー社によると、「既存人材の報酬を年功序列から脱却するという課題はビフォーコロナからの課題であり、ポストコロナ時代を見据えた人材マネジメントにおいて、必要な人材の確保や、既存人材のスキル育成などがより緊急度が高いテーマです。新しい働き方を模索する中で社員のエンゲージメントを下げないためにも、昇給凍結はコストコントロールの選択肢の上位にはなっていません。」とコメントしています。

つまり、日本における昇給凍結は、コスト面で行うのではなく、その分をトータルリワードの概念の元、他の要素に配分し、従業員満足度を高めつつ、既存事業の必要人材や成長分野の主要人材によりリソースをかけるということを表していると言えます。今後の日本企業の採用戦略にとっても大いに参考になると言えます。

【運営会社】株式会社セレッジ

代表菅野の素顔
菅野 直純
76年大阪生まれ。04年から外国人採用事業をスタートし16年以上外国人採用分野に携わる。2010年から14年まで中国最大(世界4位)の人材総合サービス企業中智上海グループに数少ない日本人としてJoin。12年に日企人事倶楽部設立。帰国後、外国人エンジニア人材採用/管理事業を展開。